抗リン脂質抗体症候群

 

 抗リン脂質抗体症候群は、抗リン脂質抗体という自己抗体によて引き起こされる不育症や反復血栓症です。この病気の場合、赤ちゃんを養う絨毛という組織の血管がつまり、赤ちゃんに十分な栄養が届かなくなります。

すなわち、抗リン脂質抗体抗体が存在すると、血液が固まりやすくなり血管内に血栓が生じ、母と胎児との栄養や酸素の交換の場となる胎盤の形成が障害されわけです。

流産の他にも妊娠中期・後期の子宮内胎児死亡、妊娠中毒症、子宮内胎児発育遅延などの原因にもなります。  

リン脂質は細胞膜を形作るのに必要な要素であり、カルジオリピンやフォスファチジルエタノールアミンなどがあります。抗リン脂質抗体の検査としては、抗核抗体(ANA)、抗カルジオリピン抗体IgG、抗カルジオリピン抗体IgM、抗カルジオリピンβ2GPI抗体、ループスアンチコアグラント(LAC) 、抗フォスファチジルエタノールアミン抗体IgG、キニノーゲンなどを調べます。

その治療法には抗凝固療法と免疫抑制療法があります。抗凝固療法は血液が固まりにくくする薬を用いる治療法ですが、低用量アスピリン(小児用バッファリン)の内服治療をよく行っています。それは副作用が少なく内服で治療できるためです。内服開始は体外受精の場合は胚移植後から、一般治療の場合は排卵後の体温が上昇してからで、妊娠10ヶ月にはいるまで内服を続けます。

もし、その治療で効果がない場合には、低用量アスピリンにヘパリンの併用療法を行います。ヘパリンは注射剤のために治療には入院が必要となります。

また、ヘパリン療法では腸管出血など他の臓器から出血しやすくなる副作用の可能性があります。

さらに、自己抗体を下げる目的で免疫抑制剤であるステロイド剤(プレドニン)を用いることがありますが、長期間・大量に用いる場合には副作用にも注意が必要となります。その他に、弱いステロイド作用を有する柴苓湯という漢方薬は、副作用が少ないために妊娠前からの長期間の内服も可能なのでよく使われています。