精子無力症
なめてかかるとえらい目に遭う“精子無力症”
男性不妊の症状の中でもっとも手強いのは、 “精子無力症”です。精子は数もある程度は要りますが、やはり個々の精子の性能が最終的には重要です。たとえ精子の数は十分あっても、元気のない精子では受精には至ら
ないのです。
透明帯通過ができない
精子無力症の場合に一番問題となるのは、透明帯通過ができないということでしょう。精子が卵子の殻を破るためには、酵素を分泌しなければなりません。しかし、
酵素のまわりの膜がうまく機能しないと中の酵素が分泌されず、卵子の透明帯も破れない ので受精が成功しません。また、卵子の中に入り込むときに、頭だけは突っ込むことがで
きたのに、尻尾が振れずに終わってしまう場合もあります。このいずれの場合も受精能が 低く、不妊の原因となるのです。 ちなみに精子の運動性には、前進・旋回・振り子運動などがありますが、前進のみが精
子の正常な動きとなります。ですから運動率を調べるときには、前進運動する精子の数が 問題となるのです。顕微鏡で見て、まっすぐ運動している精子が六十パーセント以上あれ
ば正常といえるでしょう。
精子無力症の原因は何か
それでは、このような精子無力症の原因としてはどのようなものがあるのでしょうか。殆どが先天的なものですが後天的なものとして高い発熱やおたふくかぜによる睾丸の炎症、そして膿精液症の原因ともなる前立腺炎があります。膿精液症があると精子の性能は極めて低くなることが多く体外受精でも受精しないことを良く経験します。さらに最近になって解明されたものに、“精索静脈瘤”があります。
診断は
一般精液検査では運動率に注目です。60%を少しでも切るようなら機能検査をします。 一般精液所見が正常でもHOST検査、VHOS検査で低値を示すようなら要注意です。全て正常でも膿精液症や精索静脈瘤を合併している場合は念を入れて繰り返し検査します。
治療は
精子無力症の治療はまず原因疾患の治療が急務です。前立腺炎があるなら膿精液症の治療のためノイキノロン系の抗生物質と猪苓湯を併用します。精索静脈瘤がある場合は手術をまず試みます。あらゆる治療を試みても効果が乏しいと判断されたときは(結構こういうケースが多いのですが)顕微受精が最も有力な治療となります。
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