着床障害にどう対処するか

子宮内腔の異常

良好な胚を移植しても着床しない「着床障害」の場合は、子宮内腔の異常が原因となることがあります。超音波検査や子宮卵管造影検査で子宮内腔の異常が疑われる場合に子宮鏡検査を行います。子宮鏡検査により、子宮内膜ポリープ・粘膜下筋腫・子宮腔内癒着・子宮奇形などを診断することができます。子宮内膜ポリープや粘膜下筋腫は、胚の着床を障害していることがあります。子宮内膜ポリープが認められたら、検査に続いてポリープの切除を行います。子宮筋腫の場合は、改めて入院の上で、子宮鏡下レゼクトスコープ(子宮鏡で見ながら開腹せずに子宮筋腫を削りとる手術です。)を用いて手術します。

子宮内膜が着床に適しているか

子宮内膜が着床に適した状態でないと着床障害の原因になります。子宮内膜が着床に適した状態であるかどうかは、特別に用意した細いチューブで子宮内膜を採取し検査(子宮内膜日付診)を行って調べています。子宮内膜が不良な場合には、自然周期法かあるいはホルモン補充周期法により子宮内膜の最も良い状態のタイミングで凍結胚を融解して胚移植を行います。

胚盤胞移植・2段階胚移植法の利用

子宮に形態学的異常を認めず、従来の体外受精で良好な胚を移植しても妊娠に達しなかった着床障害に対しては、胚盤胞移植や分割した胚の移植後に再度胚盤胞を移植する2段階胚移植法により妊娠を期待することができます。

胚盤胞移植とは、着床に問題のある場合、胚を特殊な培養液で長期培養し(5〜7日間)胚盤胞で 移植する方法です。また、2段階胚移植法とは、受精2日後で得られた胚の中から胚盤胞に到達する可能性の高い胚1個を残し、 2,3番目と評価された2個の胚を移植します。その受精2日後での移植胚が 積極的に子宮内膜に働きかけることで、子宮内膜の胚受容能を促進させ、 そして、受精5日後で胚盤胞に至ったものを1つ胚移植する方法です。 IVFJAPANでは良好胚盤胞移植を行ったにもかかわらず妊娠に至らない症例など、 子宮内膜の胚受容能に主に原因があると考えられる症例に2段階胚移植法を行っています。

孵化障害

年齢が上がってくると受精卵を取り囲む透明帯が厚く硬くなる場合が多く、最終的に孵化することができず着床障害になることがあります。卵子を取り囲む透明帯が厚い場合や過去に体外受精を施行して良好胚を移植したにも関わらず妊娠しない場合には孵化補助術(AHA)を施行します。 孵化補助術(AHA)とは、着床障害、特に透明帯通過障害の方の治療に用い、透明帯の一部に穴を開けて孵化(ふか:卵子の細胞が透明帯から外へ飛び出すこと。)を容易にする方法です。当院では赤外線のレーザー光線を用いて透明帯に穴を開けるため、安全かつ信頼性の高い方法で施行できます。これまでどうしても着床しにくかった方にとっては革新的な技術です

免疫異常

胎児は母体にとって異物なので妊娠すると拒否反応が起こるはずです。しかしこの拒否反応を抑える遮断抗体がはたらいて、胎児を守っていると考えられています。しかしこの遮断抗体がはたらかず、母体の免疫異常があると着床障害の原因になることがあります。リンパ球混合培養試験(MLC:Mixed Lymphocyte Culture)やNK細胞活性の検査により異常の場合にはリンパ球輸血をおこなっております。

その他にも、自分自身に対する免疫反応(自己抗体)が存在すると、着床ばかりか流産の原因となります。また、血小板が凝集しやすい傾向の方も着床に支障をきたすことがあります。このような場合には異常に応じた対策が必要となります。