受胎気功

全身を流れる生命エネルギー、気。その流れ道である経絡。これらの伝統的中国医学の 考え方を基本にして不妊専門医の私が開発したのが、“受胎気功”です。
その名もずばり受胎を成功させるための気功なのです。

胎児の頃が気のパワーが一番強い

 ところで、人生でいちばん“気”が強い時期はいつだと思いますか。実は、胎児の期 間なのです。意外に思われるかもしれませんが、生まれ出る前の方が、気が充実して いるのです。そのころの気を取り戻そう、少なくとも近づいていこうというのが、受胎気 功の最大の目的だといえるでしょう。
 では、胎児のころと、出生後では何が違うのでしょうか。じつは、胎児期には全身を気 が循環していたのですが、出生と同時にその経路が二箇所で分断されてしまったのです。

“督脈”と“任脈”は大動脈

 私たちの体を走る経絡には、主要なものとして十二条の正経と八条の奇経があります。 この奇経のなかで最大のものが“督脈”と“任脈”です。
このふたつ は、日本の高速道路に例えると、東名高速と名神高速のような二大主要高速に当たりま す。二つの高速道路は、それぞれ下位の高速道路に接続し、さらに一般道に接続してい ます。督脈と任脈も同様です。他の数多くの経絡をつなぐ主導的な役割を果たしています。

 督脈は、生殖器と肛門の中間点の会陰にはじまり、背骨に沿って上がっていきます。腰 を越え、首を越え、後頭部を越え、百会のツボを越えて、額に降りてきます。眉間を通り 、鼻筋を通って、上あごまでつながっています。

 任脈も、督脈と同じく会陰に起こり、身体の前面中央を登っていきます。へそを通り、 胸の中央を通り、のどを通って、下あごまでつながっています。

 胎児のころには、この督脈と任脈がつながり、一本の輪のようになって、全身を気がぐ るぐるとめぐっていました。ところが、生まれたときに、会陰と口の二箇所で切れてしま ったのです。それからは、ほとんどの場合、上から下への一方通行となっています。

受胎気功の原理は小周天

 この出生と同時に切れてしまった二本の経絡を再びつなぎ、胎児のときのように全身にダイナミック な気の流れを呼び戻そうというのが受胎気功の狙いです。妊娠・出産は、人間の生活の 中で、最も大きなエネルギーを必要とします。この大きな仕事を成し遂げるためには、ただ単 に健康を維持する程度のエネルギーでは足りません。強烈な気のパワーが必要です。この強力 な気を練り上げるために、受胎気功では小周天という技法を中心に据えています。

 気功法のなかには静功と動功があります。この静功のなかでも最大の流派が、内丹派 です。中国の道教で、仙人に至るための気功法として人気を集めました。丹とは、不老不 死の薬です。気を体内で練り上げることによって人体の内部に丹を作り上げるため、内丹 派という名前になったわけです。これは別名を“周天功”ともいいます。呼吸に合わせて 、気を身体の前後で上下させていくのです。周天という名前には、気をめぐらせる功法、 という意味が込められていて、この様子は中国の「内経図」にとてもうまく描かれていま す。内経図は人体図でありながら、一部一部を細かくみると、動物や天体が各部分の象徴 的な意味をもって書かれています。そして人間の体自体が小宇宙で、大宇宙の縮図である ことがよくわかります。

 内丹派の修行は三段階にわかれています。その最初の段階が小周天と呼ばれます。気を 督脈・任脈で循環させるのです。縦の気の流れを重視しており、性ホルモン分泌系を刺激 するのにもっとも適していますから、小周天は受胎気功にうってつけといえましょう。人 体の上部にある脳、脳下垂体と、卵巣・精巣を結びつける働きもあります。 しかも、少し練習すれば誰でもできるようになります。

 私は非常にパワフルな小周天を少し不妊向きに改良して、生殖をとくに意識した気功法を 開発しました。この気功法だけでも妊娠する人が多いのです。ぜひ実際に試していただき たいと思います。(図:受胎気功の呼吸の経路を示す)